はじめに


 PICライタ6号機の製作過程で、手軽に安くできるシリアルポート接続のPICライタを製作しました。PICライタ5号機のICソケット版です。高価なZIPソケットではなくて、安いICソケットをつかうので、ROCさんの「1000円以下で作れるシリアルポート接続PICライター」のように「1000円以下」でとは保証できませんが、安いコネクタやソケットをさがせば「1000円程度」の予算で十分つくれるとおもいます(日本橋へパーツを買いにいって、実売価格をしらべてきましたが、1000円でおつりがきました)。もちろん、8ピン〜40ピンのPICに対応しています。PICライタ5号機と同様に、ICソケットへの配線方法も、大いに役立ったのは、後閑哲也さんの『電子工作のためのPIC活用ハンドブック』(技術評論社)に紹介されている、8ピン〜40ピンのPICへの配線方法です。それとマイクロチップ・テクノロジー社のデータシートや、海外のさまざまなJDMプログラマも参考にして、自分で試行錯誤しながら工夫しました。PICへのプログラミングは、基本的に電源とプログラミング電源、データとクロック、グラウンドという5本の線があればできますが、各デバイスによってそれぞれの信号線に対応するPICのI/Oピンはきまっています。ICソケットを各デバイスにあわせて4個使用すれば、かんたんに8ピン〜40ピン対応のPICライタがつくれます。問題は、1個のZIPソケットやすくないICソケットを使用してライタ本体を小型化するばあいに、信号線の位置がPICによって異なるので、ぶつかりあわないようにすることです。各デバイスの信号線の端子をマトリクスにしてICソケットにかさねあわせ、おなじ信号線同士がかさなりあうように、また、ちがう信号線同士はかさなりあわないようにスライドさせていけば、しぜんとその回答はみつかります。が、そうかんたんではありません。たとえば、PICライタ5号機のばあいは、28ピンのPICのVdd端子に電源が供給されない配線になっているのに、プログラムの書きこみは正常におこなえるという、電子工作初心者・FENG3にとっては「怪我の功名」とでもいうべき結果になったわけです。今回はその教訓を生かして、ソケットまわりの配線をしました。実体配線図のようなものしかこしらえておりませんが、みなさんもぜひ工夫してつくってみてください。薄型の名刺ケースぐらいには収納できるとおもいますよ。なお、FENG3は、シリアルケーブルは「メス<>メス」タイプしかもっていなかったので、Dサブ9ピンのコネクタは「オス」をつかっていたのですが、今回はDサブ9ピンのコネクタを「メス」にしました。「オス」にする場合や、ノートパソコンにPICライタを直付けする場合は、配線を手直ししてください。 

 一部修正しました(2003年4月21日)

 実体配線図を見直していて気がついたのですが、8ピンのPIC用のVssメモリ用のVddに配線するのを忘れておりましたので、追加しました。円1が8ピンのPIC用のVss、円2がメモリ用のVddです。すでに実体配線図にもとづいてライタを製作されたかたで、気になるかたは、配線を追加してください。FENG3のPIC16F675をつかった書きこみテストでは、他の端子がGNDに接続されているからでしょう、配線を追加しなくてもOKでした。メモリは、手持ちがないのでテストしていませんが、配線を追加しないとJDMプログラマ本来のメモリの挿入位置にメモリをセットしても書きこみができないとおもいます(24C01Aをつかって書きこみテストをしましたが、オリジナルのJDMプログラマの回路ではどういうわけかWPが有効になるように設定されているので、書きこむことはできませんでした。オリジナルのJDMプログラマで24Cxxに書きこめるようにするためには、WPピンをGNDに接続する必要があります……203年6月5日追加)。ですが、メモリの挿入位置はもう一ヵ所あります。メモリの1番ピンが内側のICソケットの4番ピンにくるようにセットすれば、修正前の回路でも書きこみができるとおもいます。

 注意事項:PICライタの製作にあたっては、自己責任でおこなってください。このページに記載されている情報をもとに製作された結果、ライタが動作しない、PICが破損した、パソコンが壊れた、家庭不和になった等の損害を被られても、FENG3はいっさい関知しません。

(2003年4月12日)