ペルチェ冷蔵庫続編

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ペルチェ保冷ボックスの製作(1)

 PICをつかった温度計測装置に必要なICが入手できないので、凍結実験装置の冷却装置と保冷ボックス(クーラーボックス)の製作と加工にまずとりかかりました。冷却装置は、排熱側のヒートシンクに電源用の表面積約470cm2のものをつかい、ペルチェ素子のあたる部分に小型のヒートシンクをねじで固定しました。吸熱側のヒートシンクは、ノーマルのペンティアム用の小型のヒートシンクを流用しました。排熱側のファンは、5センチ角のDC12Vブラシレスファンを2個使用しました。吸熱側のファンは、AMD K6−2 についていたCPUファンを流用しました。ペルチェ素子は2枚使用しました。吸熱側のペルチェ素子は、シリコンハウス共立で買ったGCI−07103という型番のもので、メーカーはわかりません。添付説明書によると、最大定格は、Imax 4A、Tmax 65℃、Vmax 8.4V、Qmax 23.7W、30mm×30mm×5mm というものです。排熱側は、ペルチェ冷蔵庫に使用しているアイネックス社のものを使用しました。

電源用のヒートシンクを加工し、ペルチェ素子のあたる中央部に小型のヒートシンクを取り付けました。背景のねずみ色の梨地模様は、東芝のダイナブックです。ペンティアム100Mhz、HDDは810MBです。

排熱側のヒートシンクに、4センチ角と3センチ角のペルチェ素子を重ねたところです。ペルチェ素子の4周にあるのは、ポリエチレンのスポンジを加工した断熱材です。左にあるのは、2ミリ厚の銅板のスペーサです。

 つぎに、保冷ボックスです。これは、ホームセンターで購入しましたが、季節商品なので、品薄でした。陳列台に並べてあったいちばん小型の、容量7.5リットル、500ミリリットルのペットボトルなら6本はいるという触れ込みのものです。980円でした。しかし、これは「くせもの」のようです。「一体形状の断熱材」「抜群の保冷力」をうたっていますが、FENG3がドリルで保冷ボックスの背面に穴をあけて厚みをしらべると、13ミリしかありません。外壁のプラスチックが内外あわせて2ミリとすると、断熱材は10ミリちょっとです。「10ミリちょっと」というわけは、外壁と発泡スチロールの断熱材のあいだにすきまがすこしあったからです。こんな厚みで、しかもすかすかの発泡スチロールで、「抜群」の断熱効果はあるのかな? と、おもいました。ちょっと不安になりました。

ホームセンターで980円で売っていた保冷ボックスです。500ミリリットルのペットボトルなら6本、350ミリリットル缶なら8本入る容量です。

 そして電源装置の調達です。ガラクタ箱にMSXパソコンの電源をとりはずして放り込んであったのをおもいだしたので、箱をひっくりかえすと、なつかしいザイログのZ80というCPUといっしょにでてきました。たしか、東芝のMSXパソコンのものだったとおもいます。RGBケーブルが断線してしまって、モニターに何も映らなくなって、それでメーカーに問い合わせたのですが、生産はすでに打ち切りで、販売店にも在庫なし。MSXパソコンは、たしか、「世界統一規格」だったとおもうのですが、RGBケーブルだけは、メーカーによってまちまちで、代替品も入手できなかったのです。好奇心旺盛なFENG3によって、あわれなMSXパソコンはばらばらに分解されてしまったというわけです。それで、このMSXパソコンの電源ユニットですが、DC出力は、+5V、+12V、−12Vとなっていました。これをペルチェ保冷ボックスにつなぐと、+5VはOKでしたが、12Vはオーバーロードでだめでした。これではつかえないので、他をあたることにしました。

MSXパソコン内蔵の電源装置です。フロッピーディスクドライブぐらいしか動かさないので、こんな小さな電源でよかったのでしょう。ペルチェ素子の駆動には、非力でした。

 白羽の矢があたったのが、NECのPC9821−V13です。「新しいパソコンを買ったので、いらなくなった」と知人がいうので、もらってきたものです。とうぜん、「なんでまた、もらってくるの! パソコンなんて、1台でいいでしょ! 家がせまくなるいっぽうじゃない!」と、妻にしかられました。それで、ながいあいだほこりをかぶったままだったのですが、今回、電源をとりはずしてペルチェ保冷ボックスの電源に流用することにしました。去年、ペルチェ冷蔵庫の電源にしようと、安いATX電源ユニットを買ったことがありますが、どこをどうしたら電源が入るのか、さっぱりわかりませんでした。FENG3のようなしろうとにとっては、古いパソコンのAT電源ユニットは、電源スイッチがついていて、あつかいやすいのです。

ちゃんとWindows95がうごいていたのですが、内蔵ハードディスクは、故障した友人のパソコンの修理につかってしまいました。友人のクラッシュしたハードディスクからのデータの「救出」は、8割ほどできました。今回は、ペルチェ保冷ボックスの電源役です。

 さっそく、AT電源ユニットをペルチェ保冷ボックスに接続してみました。……不安が現実のものとなりました。室温16.7℃で、通電してもボックス内の温度は11.2℃まで下がるのがせいいっぱいです。わずか5.5℃の温度差です。冷えない原因は、当初の予想どおりです。保冷ボックスの外側をさわってみると、冷たくなっています。行楽でペットボトル飲料を氷で冷やすという用途なら問題ないのでしょうが、凍結実験をやるために必要な断熱効果は「抜群」とはいえないようです。ここは一工夫いります。

11.2℃までしか温度が下がりません。ペルチェ冷却装置の冷却能力は、すでにペルチェ冷蔵庫で「実証済み」で、自信があります。問題は、断熱です。これを見なおすことで、おどろくほど冷えるはずです。あと20℃は冷やさなければなりません。

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2003年3月12日